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手洗い2

[2017.02.16]

昨日手洗いの事を書きました。

今日は、そのなかでも、よくテレビのドラマで出てくる手術前の手洗い方法の話です。

ドラマで出てくる手洗いは、手術室の前室の滅菌水のでる蛇口の下で、消毒液をとって、ブラシを持ってゴシゴシと擦っていますね。確かに、10年以上前は、私たちもあのような手洗い方法を行っていました。あの方法が標準だったのです。

ブラシも、ふわふわの物ではなく、結構しっかりした物(普通の安い歯ブラシをイメージしてください)でしたので、手洗いの後は肘から先はかなりガサガサになり、時によっては、皮膚に細かい傷が見える事もありました。手術が終わっても、その部分は肌荒れしていて、皮膚のかさかさは続いていた物です。

お気づきになったかもしれませんが、そのような皮膚は、実は逆に感染を呼び寄せる事になります。ただ、実際には、ゴム手袋が完全な壁になって防御していますので、その手袋が破れない限りは患者さんへ感染が広がる事はありません。

今の手洗いの考え方は、どんな消毒薬を使って手洗いをしても、2時間もすると汗腺などに隠れていた細菌が表面へ出てきますので、元の未消毒の状態に戻ってしまう、そのため、2時間毎に手洗いを繰り返し、手袋を交換する、という方向です。また、皮膚の傷は感染の基となりますので、傷の付かない手洗い方法が推奨されています。これは手と手を擦り合わせる方法です。ただ、爪の周辺だけはブラシで擦る事も否定されていません。

また、びっくりされる方もあるでしょうが、水道の管理で来ている病院では、手洗いに使っている水は、滅菌水ではなく、普通の水道水を使っています。実は、日本の水道水は世界のトップレベルの清浄な水で、家庭の蛇口から出ている水の細菌検査を行っても、何かの細菌が検出される事は滅多にありません。その安全の目安は、水の塩素濃度です。その管理が出来ていれば、問題ないのです。

ドラマでも、今の手洗いを行っている場面もあります。ちょっと気をつけてみてください。

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