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ミレーナのお話

リングとは

主に避妊の目的で使う、子宮内器具(IUD)の一種で、一般的にリングと呼ばれることも多いです。

IUD には色々な種類の種類があり、様々な形をしています。古典的なものに太田リングがあり、これが普及していたためにリングと呼ばれるようになったようです。

従来の IUD は 2 年から 3 年で交換する必要があり、また、非妊効果も 90% 程度と十分なものではありませんでした。

ミレーナとは

ミレーナは、薬剤付加 IUD の一つで黄体ホルモンを用いたものです。

この IUD は、黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を子宮の中に持続的に放出するすることで、低用量経口避妊薬 (OC) の高い避妊効果と、子宮内避妊用具 (IUD) の長期の避妊が可能であるという特徴を持っています。

1980 年頃、欧米で発売されたミレーナは、避妊率が 99% 程度あり、また 5 年間の連続使用が可能ですので、現在では、世界 130 カ国以上で、のべ 2000 万人を越える女性が使用しています。

日本では 1989 年頃より神戸大学を中心に臨床研究が開始されました。その後個人輸入などで使用され始め、2007 年には日本でも発売されました。2016 年には過多月経の方で、2020 年には月経困難症の方に対して保険適応となりました。

また、過多月経の治療薬として国内外のガイドラインですすめられています。

私は、当初の神戸大学の研究グループから参加しており、その後も個人輸入でごく少量使っていました。2007 年の日本での正式発売以来、約 1000 例の使用実績を持っています。

ミレーナを使うと

通常、子宮内膜は卵胞の成熟とともに肥厚していき、排卵の時期より成熟していきますが、妊娠しないと、子宮内腔から剥がれていき、その際に出血をおこします。これが月経です。

出血量は、子宮内膜の厚みと比例するため、内膜の肥厚が大きい方では出血量が増える傾向があります。内膜が異常に肥厚する原因として、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症など、子宮が大きくなるような変化が考えられており、その他、ホルモン量の影響などによって、肥厚が大きくなる方もあるようです。

 

 

ミレーナが装着された状態では、この黄体ホルモンが子宮内に装着された IUD より徐々に放出される事により、子宮内膜(子宮腔の内側を覆っている膜)に直接作用する事によって、子宮内膜の肥厚を抑える効果があります。このため、授精した卵子が着床出来ない事によって妊娠を避ける事が出来ます。

 

 

 

 

ミレーナの効果

  • 避妊
  • 過多月経の軽減
  • 月経困難症の軽快

発売当初は避妊の目的で使用されていたのですが、この子宮内膜の肥厚を抑える作用のため、月経時の出血量が激減します。この作用を過多月経の方(生理の出血が非常に多い方)に利用すると、出血量が非常に少なくなるという効果が確認されています。私の外来では、保険適応とされる前より、過多月経の方への治療として多くの方に使っており、非常にいい効果を認めていました。

また、一部の月経困難症(強い生理痛)の方で痛みが和らぐ方が多く、特に子宮腺筋症、深部子宮内膜症の方では、非常にいい効果を認めることがあります。

ただ、子宮筋腫、特に大きな筋腫の方では、装着することで出血が増えることもありますので、慎重に使用する必要があります。

ミレーナはどうやって使うの

診察の中で、子宮腔内へ挿入します。

ミレーナは、専用の装着ツールにセットされています。それを使って、子宮口より内部へ挿入します。操作は 5 分程で、エコーを使って位置を確認します。

経産婦さん(経腟分娩の経験のある方)では、子宮口が開きやすいので簡単に挿入することができる方が多いです。

未産婦さん、または、帝王切開術のみの経験者では、子宮口が開きにくい方があり、挿入が難しいことがあります。そのため、子宮頚管をゆっくりと緩める処置を行い、2 時間後に挿入するとほとんどの方で挿入できます。

子宮筋腫を多くお持ちの方、子宮内膜症などで子宮が強い後屈の方では、挿入が難しいことがあります、

ミレーナは、5 年後に抜去または交換することになります。抜去用に糸がついていますので、それを使えば一瞬で抜去することができます。

ミレーナのメリット・デメリット

ミレーナを使っているほとんどの方が、出血量が減ったので非常に楽だ、とおっしゃります。一部の方では、ほとんど出血が無くなってしまい寂しいような、とまでおっしゃるかたもあります、

痛みもかなり軽くなっているようです、

挿入した方が一様に、もっと早くすればよかった、との感想です。

逆に、デメリットはほとんどありません。

よく、入れる前にお話していると、入れた後で痛くなる、変な感じがするのでは、と不安を仰る方がありますが、実際には、ほとんどそのような感じはありません。1000 例の実績で 2 人の方で挿入後に中止したことがありますが、数日後にも症状は消えておらず、感覚的なものだろうと判断しています。

また、挿入後、数週間から3ヶ月程度、少量の性器出血が続くことがありますが、子宮の中に器具を挿入したことによる刺激の出血で、その後消失しますので、心配はありません。

ミレーナの費用

避妊目的での使用は、自費診療となり、5 万円程度かかります。

過多月経、月経困難症の方での治療としても使用では、保険診療となり、2万円程度になります。

 

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