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コロナワクチンについてのデマ

[2021.06.23]

新型コロナワクチンの接種が進んでいますが、一部のワクチン反対論者(ワクチンカルト集団と呼ぶこともあります)が、反ワクチンの理由として流している噂がいくつかあります。

それについて、(一社)保健医療リテラシー推進社中 の副会長 木下 喬弘 先生の解説から拾ってみました。

 

■<噂1> ファイザーのワクチンは脳出血を起こしやすく、死亡者も出た

日本でワクチン接種後、4日後に基礎疾患のない26歳の女性が脳出血で亡くなったことが報告された。アメリカでも同様の脳出血の報告はあったというが……。

「ワクチンを打ったあとにたまたま脳出血を起こした可能性が高く、因果関係の誤解釈でしょう」(木下先生、以下同)

脳出血は、意外と多い疾患で、東洋人の女性に多いもやもや病という脳内の血管異常をおこす病気が原因になることも多いです。実際、妊婦さんが脳内出血で亡くなることもあります。もやもや病は、血管造影などの特殊な検査を行わないと発見することが難しいため、隠れて持っている人はかなり多いです。また、それ以外にも、脳動脈瘤など原因はおおくあります。

それらが原因の出血が、たまたま接種後におこることはありえることで、実際に、接種していない人との比較では、その確率は全く変わらないです。

不安を感じられるのはわかりますが、接種後に交通事故で亡くなった、という話と同じようなものだと考えていいと思います。完全な誤解なのは、理解いただけるでしょう。

 

■<噂2> ファイザーワクチンの接種者の呼気や汗で抗原曝露が起こる

抗原曝露(こうげんばくろ)とは、ワクチン内の抗原(病原性をなくした病原体や、毒素の全部、または一部分のこと)で接種者の周囲の人に感染するというもの。

「これは治験のときのプロトコル(治験実施計画書)にそれらしいことが書いてあり、それが元ネタになっています」

「今回のワクチンは、人類史上初めて承認されるタイプの薬。なので、ワクチンの薬液に周囲の人が触れてしまった場合や、接種した人のパートナーが妊娠した場合は、安全性を確認するためファイザーに報告してください、とプロトコルに書いてあるんです」

これはワクチンなどの治験では必ず含まれている、想定された可能性についての文書を、歪曲した読み方をしたものでしょう。これは完全にデマです」



■<噂3> アストラゼネカのワクチンは30代女性に血栓ができやすい

アストラゼネカのワクチンは、今年の4月にヨーロッパで使用を中止したというニュースもあった。

「この噂はデマではありません。そもそも日本でもアストラゼネカのワクチンは承認されましたが、任意接種ということで、医者がよほど望まない限り打たないことになっています」

 そんな薬が承認されたということが驚きだが、木下先生はこう説明する。

「もともとワクチンは副反応がゼロということはありえません。アストラゼネカについては、10万回に1回くらいの確率で血栓症が起きる人がいる、ということがわかっています。パーセンテージでいうと0・001%。

 実際にコロナに感染すると血栓症はもっと高い確率で起こります。コロナで血栓症になるほうがよほど怖い、ということでイギリスでは使い続けています」

 

アストロゼネカのワクチンは、アデノウィルスをベクター(運び屋)にしたワクチンです。アデノウィルスには、まれに血栓症を起こす可能性があることがわかっていますので、この反応の可能性が考えられています。ですから、コロナワクチンそのものの副反応ではないと考えていいでしょう。例えば、インフルエンザワクチンは、鶏卵で培養して精製する製造ですが、鶏卵のタンパク質が混入する可能性があるので、たまごアレルギーの人は注意するように、というのと同じだと考えていいでしょう。

新型コロナに感染すると、血栓症が発症する可能性が高く、それが原因で重症になることもあります。この可能性は、アデノウィルスによる血栓症と比較すると1万倍近く高いので、どちらの危険性が重要か、を考慮します。ワクチンによる発症が30代の女性に多いことがわかっていますので、それに該当する方で、十分に考えればいいと思われればいいでしょう。


■<噂4> ワクチンを接種した男性と性交渉をした女性は不妊症になる


これは、木下先生の記事をそのまま転載させていただきます。

「ワクチンを打つと女性が不妊になるという噂は、特に多く流れたデマなんです。この噂はそこから分かれた“変異種”だと思います」

 そのデマの出元はとんでもなかった。

「ファイザー社元副社長のマイケル・イードンという人です。会社を辞めてから“このワクチンの怖さをこっそり教えます”みたいな雰囲気で、動画で暴露したんです」

 ファイザーといえば、世界中で打たれているワクチンの製造元。元幹部が話す内容なら、信憑性が高いと感じてしまうのは当然といえる。

「彼は子宮の中で胎盤を形成するタンパク質と、ワクチンで作らせたコロナウイルスのスパイクタンパク質の構造が似ている、と言ったんです。なので、ワクチンで作られた抗体が胎盤を作るタンパク質も攻撃して壊してしまうので、不妊症になると主張しました」

 スパイクタンパク質とは、ウイルスが人間の細胞に取り入るときに使う部分。ワクチンにはその“設計図”が入っていて、体内で作らせた偽のスパイクタンパク質を免疫で攻撃させることで、抗体を作る仕組みだ。

「タンパク質の構造が似ていれば、免疫が働くことも考えられます。しかし、そこはちゃんと研究されていて、スパイクタンパク質と胎盤のタンパク質は似ている部分もありますが、違う部分のほうが多いんです。

 実際、抗体は胎盤のタンパク質を攻撃しません。

まったくのデマです」



■<噂5> mRNAワクチンは人為的に作られたもので、人間のDNAを改変する

 

DNAは細胞の核のなかにあり、厳重に守られています。

そのDNAからmRNAが作られていますが、その逆に、mRNAからDNAが作られることはありませんし、DNAを改変することもありえません。

 

木下先生は、

「人のDNAを変えるなんて、そんな簡単にできることではありません。可能だとすれば、タバコを吸うこと(笑)。喫煙によってDNAが傷つき、がんなどを引き起こします。そちらのほうを心配してほしいです」

とコメントされています。

 

 ワクチンを打つ、打たないを悩んでいる方がいらっしゃるようですが、それは個人が決めることです。打たないことで感染し、重症にはならなくても、感染源となってクラスターを作ってしまう可能性は十分にあります。また、長期間経過後の脳への影響(前頭葉の萎縮、アルツハイマー病への進行の可能性)が考えられる情報が出てきています。そうなった時のご自身の後悔や周囲の人の反応がどう変化するかも、ちょっと考えてみられたほうがいいのではないでしょうか。

悩んでいる人に木下先生はこんなメッセージを。

「若い人で重症化する人が少ないというのは事実です。でも感染して長期間の味覚障害などの後遺症が出ることもありますし、高齢のご両親などにうつしてしまい、それが原因で亡くなるという可能性もあります。

 今回のワクチンは非常に有効性が高いです。できる限り多くの人が速やかに接種することが、長引く緊急事態宣言や日本経済の停滞を終わらせるためには必要なことだと思います」

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