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オンライン診療

[2022.02.28]

テレビのコマーシャルなどで、オンラインでの診療が流れています。

オンラインの診療について、実際に来院されての診療とは全く異なるものですので、御注意いただきますよう、ご理解ください。

実診療では、ご自身の通院できる範囲で通院先を選ばれると思います。そこで実の診察(これが非常に重要です)を受け、例えば、診察室へ入ってくる時の歩きかたの様子、顔色、必要によって手の色、爪の色などを診ています。また、話し方やこちらからの問いかけに対する反応の内容、時間、その間の手や身体の動きなどを診ています。これらは、診療に対して非常に有用な情報で、過去には、歩行の異常から、下肢静脈血栓症をごく初期に疑ったこともあります。

オンライン診療では、これらの情報の中で得られるものは、顔色、話し方だけです。ですが、顔色もカメラを通してのものですので、その周囲の照明に大きな影響を受け、カメラの性能によって、全く違う色に見えることがあります。意図的に赤みを強くして顔色をよくみえるように細工することも可能です。また、おそらく話をしている時の反応は全く見ることができません。ですから実診療と比べて、情報は十分の一程度になってしまいます。これによって異常所見を見逃したとしても、診断医にも責任はあるでしょうが、その時の情報の欠如によるものについては、診療不可能という判断になると責任はないとされる可能性は十分あります。この点では、十分な診療であるは言えないと思います。

さらに、もし、オンライン診療で処方された薬の副作用が出て、救急的な処置が必要になった場合、対応するべきは、その薬を処方した医師ですので、連絡をとり、直接診察を受けてください。それ以外の医師では、以前の状態、薬の処方目的、処方の詳細がわかりませんので、対応は極めて難しく、診察を断られることも多いです。救急診療所でも、婦人科に対応できるところは一部を除いてほぼありませんので、対応は断られると思います。

オンラインでピル、は魅力的な言葉ですが、実際には副作用もあり、すぐに対応しないと最悪死亡することもあります。実際に、日本全国の統計では毎年 10 人前後が亡くなっており、その数十倍の後遺症を伴う副作用を発症したかたがいます。今後オンライン診療での副作用の発見が遅れ、重篤な副作用が増える可能性もあります。

オンライン診療そのものに隠された魔の手を十分に理解され、メリットデメリットを考えてご利用ください、

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