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ヒト・パピローマウイルス (HPV) 検査のお薦め

ヒト・パピローマウイルス(HPV)検査とは、発がん性HPV感染の有無を調べる検査です。
欧米では、子宮頚がん検診として、細胞診と併用し一般的に行われている検査です。(国内でも実施している市町村があります)

【 ヒト・パピローマウイルス(HPV)とは】

子宮頸がんは、ヒト・パピローマウイルス(HPV)の長期間の感染が原因で引き起こされることが解明されています。

HPVは100種類以上ありますが、大きく「低リスク型」と「高リスク型」に分類されます。

低リスク型HPVは、イボ、尖圭コンジローマなどの皮膚疾患の原因となります。なかでも尖圭コンジローマは外陰部や膣、子宮頚部、尿道口、肛門周囲に鶏冠の様な複数のイボを作り、長期の治療が必要で、再発しやすい病気です。尖圭コンジローマの90%以上はHPV6型と11型によるものです。また、再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)は、気管や気管支にイボの様な乳頭腫を作り、場合によっては呼吸困難をおこす病気です。分娩時に母親から感染したビールスが原因の可能性があるとされています。

高リスク型HPVは、子宮頸がんをはじめ、膣がん、外陰がん、肛門がん、陰茎がんなどの原因となり、13種類の型(16、18、31、33、35、 39、45、51、52、56、58、59、68)があります。日本人の子宮頸がんや子宮頸部異形成発症の原因で多いものは、16型・18型・39型などです。

この検査は、このHPVハイリスクグループ13種類に感染し ているかどうかを、遺伝子レベルで検出する検査です。(どのHPVの型に感染しているかを特定する検査ではありません。)

HPVに感染しても、いきなりがんになるわけではありません。 HPV感染から子宮頸がんになるまでは、数年~10年以上の時間がかかります。
ほとんどのHPV感染は一時的で、約90%はHPVが自然消失します。
約10%のHPV感染ではウイルス感染が消えず、感染が長期化(持続感染)します。この場合は、数年後までには、細胞の形態が変化を起こす「前がん状態(異形成)」が長期間にわたって見られるようになります。この異形成も程度の 軽いもの(軽度異形成)から進んだもの(中程度異形成、高度異形成)までありますが、いずれも検査で見つけることができます。 異形成になっても、軽度異形成の多くは途中でHPVが消失し、それに伴って異形成も自然に治癒します。
異形成の程度が進んだ病変の場合は、子宮頸がんに進行する場合があります。放置するとがんに進行する可能性のある変化が進んだ異形成の場合は治療 を行ないます。異形成は簡単な治療で完治します。 定期的に検診を受けていれば、がんに進行してから見つかることはまずありません。

【検査方法】

子宮頸部を綿棒やブラシで擦過して、細胞を採取します。ほとんど痛みもありません。 検査には1週間~10日間必要です。

【HPV検査結果が(陽性)の場合】

陽性であれば、子宮頸部異形成や子宮がんを発症するリスクがあります。10年間での高度異形成の発生率は2~20%程度と言われています。3~12ヶ月ごとに細胞診を行い、また必要に応じコルポスコピー検査(子宮頚部拡大鏡検査)を行い、異形成の発症の有無を調べていく必要があります。

【HPV検査結果が(陰性)の場合】

陰性であれば、その時点では異形成や子宮頚がんを発症する可能性は低いとされています。ただし、その後の感染や発症の可能性を否定できないので、2〜5年ごと程度の細胞診は必要です。

【検査料金】

婦人科頸部細胞診検査でASC-US(軽度扁平上皮内病変の疑い)と診断された場合は健康保険の適応です。
それ以外では自費検査5,000円となります。(自費初診料または自費再診料・税・手数料別途。保険診療との同時実施はできません)

【子宮頚がんワクチン接種と子宮頚がん検診】

HPVは性交渉により感染します。性交渉経験が無いうちにワクチン接種することでこのビールスの感染は予防できますので、中学生の間に予防接種を行うのが理想とされています。
また、HPV検査を行い、陰性であることが確認されれば、ワクチン接種の意義は大きいです。
ただ、従来使用していたワクチンはハイリスクHPVの2個の型(HPV 16型・18型)に有効で、その他の型への完全な効果はなく、60%を抑えるとされています。なお、ガーダシルは、尖圭コンジローマなどの原因のHPV 6型と11型にも有効です。現在は、より多くの型のHPVに対して有効な新しいワクチン、9種類のビールスに有効なワクチン「シルガード」使用しています。このワクチンはハイリスクHPVの7個の型(16・18・31・33・45・52・58)に有効で、90%を抑えるとされています。さらに将来のワクチンではウィルスの排除も期待出来るかもしれません。

自治体の公費で行う節目検診や子宮頸がんの検診通知が届きましたら、HPV の検査を合わせて、当院にて細胞診検査を受けられる事をお勧めします。

世界保健機構(WHO)、厚生労働省、日本産婦人科学会、日本産婦人科医会は、子宮頚がんワクチンの接種を推奨しています。

1997年度以降に出生された女性で、以前に子宮頸がんワクチンを受けておられない方には、2022年に市町村よりワクチン接種券が送付されています。接種期限は2025年3月です。3回の接種には7ヶ月以上必要ですので、早めに開始してください。当院では、電話連絡いただければ接種が可能です。

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