手洗い
皆さんは、手洗いをされていますか。
医療者は、何回と無く手洗いをします。私の様に産婦人科の外来を行っている間は、診察一人毎に手洗いを行いますので、何十回にもなることがあります。
それに伴って少々辛いことが起きます。手洗いの水が冷たい事、それに冷やされて手が冷えきってしまうのです。それで患者さんに触れざるを得ないので、その瞬間にヒャッと言われてしまいます。触れる前に手が冷たいのでご免なさい、と言ってはいるのですが、それで冷たいのが消える訳ではありません。みなさん、冷たくてご免なさい。
さて、手荒いですが、石鹸を使うと効果的、消毒効果のある薬用石鹸を使うとさらに効果的、と昔から言われてきました。
ところが、それを否定するニュースが流れてきました。アメリカのアメリカ食品医薬品局（FDA）が、薬用石鹸の有効性を否定し、むしろ有害であるとしたのです。この成分とされていたのが、トリクロサンとトリクロカルバン、これは、日本でよく売られている薬用石鹸に含まれています。これらの成分は、免疫系に打撃を与えるとともに、手洗いの後で自然界に流された後でも殺菌性を持ち、自然界の細菌を死滅させる可能性がある、との事です。自然界のバランスは、その根底に細菌のバランスがあっての上にある、と言われていますので、そのバランスを崩す可能性があるのだそうです。
実際の石鹸の効果は、抗菌剤が含まれているかどうかに大きくは影響せず、油脂を落とす事と、石鹸のゆるゆるをしっかり落とす様に擦り洗いされる事と流水による効果が大きいそうです、つまり、手術前の手洗いなど特殊な場面を除いては、普通の石鹸で十分、というのが実際な様です。
どちらにしても、手洗いそのものは大事な事。外から帰ってきた時、食品をさわる前など、必要に応じて、十分な手洗いを忘れずに。
