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子宮頚癌ワクチン

[2020.12.01]

10月初めに、厚生労働省より、子宮頸癌ワクチンについて周知するように、ただし、ワクチンの接種を推奨はしていないので、強い通知にならないように注意すること、という何か矛盾するような通達がでました。

それを各市町村が受けたかたちで、10月末から11月初めに該当する女子(今年度に13歳より16歳の誕生日を迎える方)に通知を出しています。その通知を見られた方が、多く接種に訪れておられます。

子宮頸癌ワクチンは、子宮頸がんワクチンのページに書いているように 2 種類あります。どちらも、長期の免疫を獲得するためには 3 回の接種が必要で、1 回目の接種から、1 または 2 ヶ月後、6 ヶ月後が標準の接種になります。この接種時期がずれるとどうなるか、遅れた場合の情報はいくつか公表されており、その 1 例として、ベトナムで行われた検証では、4 ヶ月後、12 ヶ月後に接種を行なっても、抗体値に差が出なかったとされています。つまり、2 回目、3 回目の摂取時期が少々遅れたとしても、効果に影響がないと考えていいようです。

逆に、早く接種したときのデータは見つかりません。

添付文書には、2 回目は 1 ヶ月以上開けること、3 回目はそこより 3 ヶ月以上開けること、という注記がついています。この最短のスケジュールで摂取した場合はどうなるでしょうか。抗体量(免疫力)は、接種からしばらくすると最高値に達して、その後ゆっくりと減少して行きます。その 3 回分の効果を重ね合わせることになるのですが、理論的な計算上は、3 回目の接種までの期間が短くなると長期の抗体の低下が早くなる傾向を示します。つまり、例えば 30 年後の免疫が十分では無い可能性を考えないといけないかもしれません。ただし、これを検証したデータはなく、あくまで机上の計算での話です。

問題になるのが、今年度(2021 年 3 月 31 日まで)に 16 歳になる方で、これらの方では 3 回目の接種が 2021 年 4 月以降になり、市町村より発行されているクーポンの対象外になってしまいます。このような通知を 10 月になってからだせば、6 ヶ月後に間に合わないことが明らかなのに、あえて出した厚生労働省の考え方は理解しがたいです。厚生労働省は、接種が存在していることはかつてから通知しており、それを繰り返しただけだ、とコメントしているようですが。

どのようなスケジュールで接種するかは、本人さんとご両親との相談で決めております。

12 月になってしまいましたので、3 回目の接種はどうしても 4 月に繰り込んでしまいますが、2 回分の接種費用の補助は受けられます。是非、積極的に摂取されることをお勧めします。

行政にも、コロナウィルスの影響も考えて、3 回目の接種時期が遅れても、補助の対象としていただけるように、考えていただきたいものです。

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