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妊娠検査薬(2)

[2018.02.05]

妊娠検査薬が陽性に出ても、妊娠ではない場合があるお話です。

妊娠以外でこの検査が陽性になるのは、多くは、胞状奇胎という状態です。染色体の異常で、胎盤と同じ様な組織が大きく増殖してしまう状態で、胎児は多くはみられません。放置していると、徐々に出血を起こしてくる事が多いです。その後、子宮が急速に大きくなっていきますので、早めに子宮内容を除去する事が必要です。処置が遅れると、場合によっては、胞状奇胎が子宮の壁に侵入し、侵入性奇胎になります。筋層に侵入した組織は簡単には掻き取る事ができませんので、残ってしまいます。さらにその組織の一部が血管内に入っていくと、血流に乗って体のあちこちに運ばれていきます。どこかに引っかかると、そこで増殖を続けます。組織そのものは悪性のものではないのですが、悪性腫瘍と同じ様に転移したような状態になっていきますので、絨毛がんと呼ばれる状態になります。手術で摘出したり、抗がん剤を使って転移を抑えたりする治療が必要になります。

子宮外妊娠は、卵管や卵巣の表面に起こる事が多いのですが、それ以外にも、腹膜や腸の表面に起こる事もある様です。最初は何も書状がありませんが、しばらく経つと腹腔内の出血を起こす事が多いので、最初は軽く、徐々に強くなってくる腹痛を訴える様になります。この頃までに診断がつけば、手術などで治療する事ができます。この時期を過ぎてしまうと、強い腹痛が起こる様になります。すぐに救急搬送ができれば、生命的に問題が起こる可能性が大きくはないでしょう。ですが、この時点で動けないほどの強い症状が出て、近くに誰もいない状態ですと、大量の出血をおこしており、死亡する事も考えられます。

稀な話ですが、実際に、意識不明の状態で救急搬送され、緊急手術を行い、腹腔内の出血が 3000g を超えていた、という事もあります。

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