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卵巣ガン

[2017.02.20]

静かなガンと言われている、卵巣ガン、偶然早期に見つかった時は、非常にラッキーです。すぐに手術などの治療が出来れば、完治する可能性は十分あります。

それなら定期健診で、と思われるでしょうが、卵巣ガンの健診は確実ではない事が証明されています。

少し前に、中国四国地方で、卵巣ガンが見つかった方のそれ以前の健診や治療について、大規模な調査があったそうです。かなりの方は健診を受けられていなかったそうです。これは、他のガンでもある事ですが、少なくともたまには健診を受けてくださいね。

その結果で最もショッキングな事は、卵巣ガンが見つかる数ヶ月前に、子宮全摘術を受けていた方が入っていた事でしょう。子宮には、筋腫などの良性の疾患が見つかっての手術だと思われますが、ほとんどが開腹術だったそうです。という事は、子宮のすぐそばにある卵巣の変化を見落とす事はほぼあり得ませんので、その術後の数ヶ月でガン化したと考えられます。

これが、卵巣ガン健診が確実ではない、という大きな証拠です。

比較的手軽に撮影できるCT(X線を使った断層撮影)でも、卵巣ガンは見つける事が出来ます。最新の超高性能CTですと画像のなかの点の大きさが10分の数mmという非常に小さくなっており、かなり小さな変化も見る事が出来ます。ちなみに、画像を3次元に構成すると、まるで内視鏡で見るかの様な腸の内腔や血管の中に入った様な図を作る事が出来ます。卵巣の腫瘍も最初は小さな物ですが、ガン化する様な物は数cm以上になっており、超高性能の物でなくても見つける事は出来ます。ただCTにも欠点はあって、X線の被爆が起こるため、必ずしも安全ではないのです。最近の肺ガン検査での結果では、定期的に年1回以上のCT検査を受けた人では、発症率が0.4%上昇したという報告があります。もちろんこれは十数回以上の検査を受けた後の危険性ですので、数回程度の検査では心配される事は全くありません。

卵巣ガンが起こるきっかけとして、今確実なものとして言われている一つが、排卵による卵巣の傷です。それを修復する際にガン化することがあります。それを防ぐためには、排卵を無くしてしまう事です。経口避妊薬が最も手軽で、長期に使用する事で卵巣ガンの発症率が1/2になると言われています。

もう一つの原因が、子宮内膜症性卵巣嚢胞、いわゆるチョコレート嚢胞です。この中に溜まる液体は血液ですが、血液に含まれる鉄の細胞毒性によってガン化が起こる事があります。4cm以上の大きなチョコレート嚢腫を持っている方では、手術的に摘出する事が薦められます。また、中程度の物ですと、それ以上大きくしない様な治療を行っておいた方が良いでしょう。最も効果的とされているのが、ジエノゲスト製剤(商品名ディナゲスト)です。これは少し高価なのが欠点ですが、良い効果を持っており、副作用も少なく使いやすい薬です。まもなくジェネリック製剤が発売され、価格もかなり安くなる様です。また、経口避妊薬を使用してみてもある程度の効果は期待できます。どちらの治療も、子宮内膜症に伴う月経困難症(生理痛)を和らげる効果も期待できます。

卵巣ガン、患者さんの数は多くは無いですが、進行してから見つかる事が多く、死亡率も高いです。確実に見つかる訳ではないですが、子宮ガン健診と合わせて、定期的に受けましょう。

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